奈良 法隆寺・西院伽藍
西院伽藍は「さいいんがらん」と読みます。
法隆寺・西院伽藍【配置 案内地図】
法隆寺の境内は大きく分けて5つの区間(ゾーン)に区切りがされています。
- まず1つ目は、ここ「西院伽藍ゾーン」
- 2つ目は「東院伽藍ゾーン」
- 3つ目は「若草伽藍ゾーン」
- 4つ目は「寺務所ゾーン」
- 5つ目は「聖徳会館ゾーン」
「聖徳会館ゾーン」は、「東門と東伽藍の通路の間の通路周辺」のことです。
聖徳会館には、片目のカエル伝説が現在も息づく「ヨルカノ池」があります。
※片目のカエル説に関しては、以下↓の当サイトの別ページにてご紹介しております。
「寺務所ゾーン」は、寺務所にお預けする形で、お守りや御札の返納などができます。
「若草伽藍ゾーン」は、昔の遺構(いこう)なので、建物はありませんが創建当初の法隆寺の名残を感じることができます。
若草伽藍については以下の別ページでご紹介しております。
法隆寺・西院伽藍の由来・歴史と「飛鳥様式」
法隆寺の南大門から入って正面が、「法隆寺の西伽藍(西院伽藍)」です。
夢殿などのある東伽藍(東院伽藍)と区別してこう呼ばれます。
法隆寺の西院伽藍には、特徴的な建築様式を持った堂舎が立ち並びます。
金堂、五重塔を中心として、その外周を回廊が取り囲みます。
回廊は凸の形状をしており、それぞれ以下のような建造物と連絡しています。
また、西院伽藍で忘れてはならない見どころの1つに国宝の薬師如来像が安置されている「西円堂(さいえんどう)」があります。
中門を向かい見て右脇には東室があり、ここには法隆寺でお守りや御朱印帳、御朱印の授与ができる売店の備わる「聖霊院(しょうれいいん)」があります。
その聖霊院の奥には食堂があり、さらにその奥には国宝の「百済観音像」や「夢違観音像」が安置される「百済観音堂」があります。
百済観音堂を除くほとんどの堂舎は「飛鳥様式」と呼ばれる建築様式で造営されており、法隆寺の他には法起寺の三重塔にしか見ることのできない、大変貴重な造りの建築物となっています。
法隆寺の「飛鳥様式」とは?「飛鳥様式の特徴」
飛鳥様式とは、主に以下のような建築物の部位の特徴を指し示します。
法隆寺「卍くずし」
金堂、五重塔、中門に見られる「卍くずし」の「高欄(こうらん/廊下の手スリ)」
法隆寺・高欄「人文字形の割束」
高欄の下の「人」のような形の「束(つか)」『人字形割束』
「雲斗(くもと)」「雲肘木(くもひじき)」
軒の出っ張りを支える「雲斗(くもと)」「雲肘木(くもひじき)」と呼ばれる雲の形をした特徴的なパーツ
法隆寺「雲斗(くもと)」
法起寺「雲肘木(くもひじき)」
以上、これらの部位に垣間見ることができる建築様式を「飛鳥様式」といいます。
建物の側まで来たら、見上げてよく観察してみてください。
「これか!」と思ってもらえると思います。
法隆寺・西院伽藍の建築物の再建年
火災による焼失の後、金堂は600年代終盤、五重塔と中門は700年代初めの再建と言われています。
一方、大講堂は、990年(平安時代)の建物です。
このように「日本最古の木造建築群」である法隆寺にも、実は色々な年代の建物があるので、それぞれの建物の共通点や違いにも注目してみてくださいね。
法隆寺・西院伽藍の主要な建造物・一覧
金堂【国宝】
五重塔【国宝】
大講堂【国宝】
中門【国宝】
鐘楼【国宝】
西円堂【国宝】
百済観音堂【国宝】
聖霊院(法隆寺の売店・授与所)
..etc
法隆寺・西院伽藍(大宝蔵院)の拝観料金
季節の拝観時間
西院伽藍・大宝蔵院(百済観音堂)・東院
- 2月22日〜11月3日:8:00〜17:00
- 11月4日〜2月21日:8:00〜16:30
※全伽藍拝観の受付は閉門の1時間前まで
基本拝観時間
- 営業時間(開門・閉門時間)9:00〜16:00
拝観料
西院伽藍・東院拝観料
- 個人
大人1500円
小学生750円 - 団体(30名以上)
一般1200円
大学・高校生1050円
中学生900円
小学生600円
大宝蔵院(百済観音堂)
- 個人
大人500円
小学生250円
団体 ※団体割引の設定なし
法隆寺・西院伽藍へのお問い合わせ先電話番号
- 0745-75-2555(法隆寺寺務所)
【補足】法隆寺の土塀までもが重要文化財??
上述した法隆寺・西院伽藍を含めて法隆寺には境内を取り囲む「土壁(土の垣根)」があります。
この垣根も、驚くことに「重要文化財」に指定されています。
垣根まで見どころ満載!至れり尽くせりの法隆寺境内です。
心ゆくまで、是非!法隆寺をご堪能ください。
法隆寺西院伽藍「大垣(土塀)」【重要文化財】
法隆寺西院大垣「南面」【重要文化財】
再建年
- 1697年(元禄10)江戸中期
大きさ
- 全長(長さ)
東大門南方長さ:86.4m
北方折曲り延長:63.5m
塀の造り
- 築地塀(泥土製)
垣根の屋根
- 本瓦葺
重要文化財指定年月日
- 1943年(昭和18)6月9日
法隆寺西院大垣「東面」【重要文化財】
再建年
- 1697年(元禄10)江戸中期
大きさ
- 南方長さ32.5m
- 唐門長さ6.7m
- 唐門北側長さ37.3m
塀の造り
- 築地塀(泥土製)
垣根の屋根
- 本瓦葺
重要文化財指定年月日
- 1943年(昭和18)6月9日
法隆寺の土塀(土壁)をよくご覧になってみてください。
地層のように層が何層もできているのが分かります。
これは土塀を造る際、下方から押し固められて造られているためです。
この土塀に使用する土は、まず「焼き」を入れられています。
焼くとは、本当に土に熱を入れて焼くことです。
土に焼きを入れることによって雑草の種や病原菌を消します。これは永続性と強度をもたせるための一種の原始的な加工技法です。
基礎部分には杉材を加工した板が据えられ、より強度を持たせています。
実はこの土壁、なんと!驚くことにコンクリートよりも強度があるそうです。
それもそのハズで、腕利きの壁造り職人が時間をかけてこの土塀を完成させたそうです。
スポンサードリンク -Sponsored Link-
当サイトの内容には一部、専門性のある掲載がありますが、これらは信頼できる情報源を複数参照して掲載しているつもりです。 また、閲覧者様に予告なく内容を変更することがありますのでご了承下さい。