法隆寺に使われた「黄金比」ならぬ「白銀比」とは?

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1300年以上の歴史を持つ法隆寺。

そこに、現代の私たちにも馴染みの深い、ある比率が用いられているんです。

「白銀比」は「大和比」とも呼ばれ、昔から日本人のお気に入りでした。

ところで・・白銀比って何?

「白銀比」とは、数値で表すと、おおよそ「1対1.4(√2)」のことを指し示します。

このような数値をみて、通常の人なら..

ナンじゃか、むじゅかしぃっ。 ど頭、カチわれそうぅ..ホォっ、ホケきょ~

などと考えてしまうのが人のサガというものですが、例を挙げますと次のようになります。

白銀比が使用されている物の例
  • 子どもの頃からお世話になっている「A4のノート」
  • 「コピー用紙」
  • 「A3ノート」
  • 「A5ノート」
  • 「折り紙」
  • 「正三角形」

以上が白銀比の例です。

分かり易い安いのはノートを綺麗にちぎって半分に折っていけば、綺麗に折れることが分かります。

長方形なのに綺麗に折っても折っても、長方形の形状の変化がありません。

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どこまでも長方形です。

これは、白銀比が成り立っているからです。

ちなみに、この白銀比は、何も建物に限らず、上述したように様々な場所や、長方形ではなくても「正三角系」や「正方形」も、白銀比にあたり、これらは様々な場所で見かけることができます。

このような美しい形状を保てることから、日本で建造物の建造に携わる職人たちの間では「神の比率」などとも呼ばれているようです。




白銀比が法隆寺に使用された理由

結論から申し上げると、白銀比が法隆寺に使用された理由は現在に至るまで謎とされています。

ただ、日本人という人種は、白銀比を直感的に感覚的に好む傾向があると伝承されています。

これは太古の原始時代を1つの例として、さかのぼる事で理解できますが、太古の昔、大陸変動によって地形が変わり、小島や大きい島(大陸)ができました。

これらの地形に人間が住みつき、幾世代も重ねて歴史を歩んできた過程で、生存するためのDNAが脳に組み込まれてきました。

生存するためのDNAとは、住む環境によって「生きる」という自然の摂理が動物である人間にも作用し、その地形で生きることのできるように身体を進化させてきたことになります。

生きるための身体の進化により物を見る価値観などが、その地形に住む人間の独自の価値観や感覚が生まれ「島に住む人間」と「大陸に住む人間」では価値観や感覚が変わってきたといえます。

以上のことから、日本人は白銀比を好む人種であると云われており、これが幾世代にも渡り、語り継がれてきているワケです。

生まれてきた赤子が見る環境は、先人から脈々と受け継がれた白銀比で造形されたものを目にすることとなります。

目が認識した情報が脳へと蓄積され、その認識が常識へと変貌していくワケです。

これはもはやDNAという細胞のレベルにまで浸透しているといっても過言ではありません。

白銀比を利用した図形(図面)の特徴

白銀比の話に戻りますが、白銀比の最大の特徴は、いくら半分に折り曲げても相対する面の大きさが同じなので、綺麗に形が合わさるということです。

「折り紙」が、まさにそうです。

ただ、折り紙は正方形となりますので、状況によってはお堂には不向きの形状となります。

白銀比を利用した図形(図面)の特徴

そこで法隆寺では、「白銀比」が用いられました。

すなわち、法隆寺での白銀比とは、主に「綺麗な長方形の形状の建屋」のことを指し示します。

ところでさぁ、あ、どっこいさぁ。奈良・法隆寺のどこが「白銀比」?

法隆寺西院伽藍を正面から見ると、「金堂」と「五重塔」が並んでいます。

奈良・法隆寺のどこが「白銀比」?↑法隆寺・金堂

法隆寺のメインでもあるこの2つの建物、実はどちらも白銀比が使われています。

まず、金堂は2階の幅と1階(礎石/土台)の幅が1対1.4になっています。

五重塔は、最上層の屋根と、最下層の屋根が1対1.4です。

そもそも、古くからの日本の建築物は「木」でできています。

法隆寺が創建された時代である奈良時代に「白銀比」を使用して建物を造るというのは、少し頭をヒネるような工夫を凝らした建築技法が必要になります。

現代のように道具や技法や、その基となる知識すら乏しい時代で、白銀比を、殆ど直感的に感覚的に生み出しているともいえます。

尚、法隆寺の遺物として「墨壺(すみつぼ)」という建築の際に線を引く道具が使用された痕跡が発見されていることから、おそらく直線はこの道具を使用して引いていたと考えられています。

現在の法隆寺には残念ながらこの墨壺は現存していませんが、建造物の用材に線を引いた痕跡が残っているようです。




【補足】ヨーロッパの人は「黄金比」が好き?

1対1.6」は、一般的に「黄金比」と云われています。

これは女性ならよくご存知だとは思いますが有名ですね。

つまり、「最も美しい比率」と言われ、ヨーロッパで人気のある比率です。

例えばアテネのパルテノン神殿は縦:横が1対1.6です。

他にも、モナ・リザの頭、肩、手を結ぶ長方形や、額と顎を結ぶ長方形も、1対1.6です。

さらに、パリの凱旋門、ギザのピラミッド、ミロのヴィーナスなどにも黄金比が見られます。

ヨーロッパの人は「黄金比」が好き?

身近な物には、ロゴやポスター、Webサイトのレイアウトに用いられることも多く、例えばiPhoneでお馴染み、Appleの欠けたリンゴのロゴにもこの「黄金比」が使われています。

このように、古くは古代ギリシャ人にも愛された黄金比に対し、法隆寺に見られるのは「白銀比」という比率です。

これらから汲み取ることのできる事は「日本人は実用的な形状を好み」、「ヨーロッパ人は美しい形状を好む」傾向が強いということが分かります。

太古の昔から生きる土地が変われば、これだけ価値観も変わるということがいえます。

正方形の白銀比の使用例

更に、「1対√2」に見覚えがある人!

これは中3数学の知識です。

これは、「正方形の一辺と対角線の長さの比」です。

と、いうことで日本人は昔から正方形も大好きでした。

古くは平安京の「碁盤の目」と表現される区画割りに見られます。

身近なところでは、上述の「折り紙」を含めて、キティちゃんの顔、ドラえもん、スヌーピー、アンパンマンなどが白銀比に近いので是非!確認してみてください。

また、奈良が誇るマスコットキャラ「せんとくん」も、これらのかわいいキャラクターたちに近いスタイルです。

丸太から木材を切り出すのに、最もロスが少ないのは正方形ということで、正方形の白銀比は日本のデザインと切っても切れない関係となります。

法隆寺のトリビアを疲労するほどに披露して激モテ期到来?

どうりで、なんとなく「しっくりくる」法隆寺金堂と五重塔の美しさ。

今度、もし誰かと法隆寺に行く際は、このトリビアを披露してみてはいかがでしょうか?

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