奈良・法輪寺
創建年
- 不明
- 推定説1:622年(推古天皇30年)
- 推定説2:670年(天智9年)
再建年
- 1739年(元文4年/江戸時代中期)
- 1903年(明治36年/明治時代初期)
- 1960年(昭和35年)
- 1975年(昭和50年)
山号
- 妙見山
宗派
- 聖徳宗
御本尊
- 薬師如来
札所番号
- 聖徳太子霊跡16番
- 大和北部八十八ヶ所霊場 第53番
発願者
- 推定説1:山背大兄王
- 推定説2:百済開法師・圓明法師・下氷新物
項・一覧
奈良・法輪寺の境内案内図
法輪寺境内はそれほど広くはないので迷うということはありません。
入口(山門)入るとすぐに拝観受付があり、ここで所定の拝観料金を支払います。
奈良・法輪寺の境内の建物や見どころ
金堂
創建年(現在のもの)
- 1761年(宝暦11年)※江戸時代
大きさ
- 横幅:五間(約10m)
- 奥行:五間(約10m)
建築様式(造り)
- 寄棟造り
1761年(宝暦11年)に旧金堂跡に再建されたものが現在見ることのできる姿です。近年、老朽化が著しく見られ、比較的早い段階での修理の必要があるとのことです。
三重塔
創建年
- 不明
- 推定:686年以降〜706年頃/飛鳥時代
再建年
- 1739年(江戸時代)※修理
- 1760年(江戸時代)※修理
- 1903年(明治時代)※解体修理
- 1965年3月〜1975年(昭和時代)※一からの再建
大きさ
- 横幅:三間(約6m)※初層部
- 奥行:三間(約6m)※初層部
高さ
- 約25m(相輪部分8m含む)
- 基壇:1m
- 初重:6.4m
- 二重:4.8m
- 三重:3.2m
設計者
- 竹島卓一博士
造営指揮
- 西岡常一大棟梁
発願者
- 法輪寺および崇敬者一同
法輪寺三重塔は2層目の卍型高欄や貫や台輪に見える雲形の意匠などをはじめ、姿こそ飛鳥様式を見せますが、残念ながら法輪寺三重塔は1944年(昭和19年)7月21日に落雷で焼失したため現在見られる姿は1975年(昭和50年)に再建された時のものです。このため国宝指定から除外されることになり【旧・国宝】とされています。
しかし、現今に至っても斑鳩三塔とうちの1塔として知られています。
斑鳩三塔
- 法隆寺五重塔
- 法輪寺三重塔
- 法起寺三重塔
関連記事:奈良 法輪寺「三重塔」【旧・国宝】
講堂(収蔵庫)
講堂(収蔵庫)は僧侶が学問をする場所であり、塔や金堂(本堂)と共に伽藍の中心となる建物です。
現在の講堂は昭和35年に耐火耐震の鉄筋コンクリートの収蔵庫として建て替えされており、空調設備のある最新型の建造物でもあります。
以前の講堂は金堂と同時期に再建された江戸時代の小さいながらの立派な造りのものでしたが、規模を縮する形で旧講堂と同じ位置に建てられています。
内部には以下、本尊の薬師如来をはじめとした11体の仏像が安置され、ほかに出土瓦、伽藍図や塔の模型なども公開しています。
十一面観音菩薩立像【重要文化財】
- 造立年:平安時代後期
- 像高:360㎝
- 造立様式など:木造彩色
元来、講堂に安置されていた講堂の御本尊です。現在は講堂が収蔵庫になっていますので、収蔵庫の御本尊でもあります。
伝虚空蔵菩薩立像【重要文化財】
- 造立年:飛鳥時代
- 像高:175.4㎝
- 造立様式など:木造彩色
元来、薬師如来像と共に金堂で安置されていました。法隆寺大宝蔵院に安置される百済観音との像容が類似していることから飛鳥時代末期の造立と見られています。
その他の仏像一覧
・吉祥天立像:造立年:平安時代後期/像高:360㎝/造立様式など:木造彩色
・聖観音菩薩立像:造立年:平安時代後期/像高:360㎝/造立様式など:木造彩色
・地蔵菩薩立像:造立年:平安時代後期/像高:360㎝/造立様式など:木造彩色
・釈迦如来坐像:造立年:平安時代後期/像高:360㎝/造立様式など:木造彩色
・四天王立像:造立年:平安時代後期/像高:360㎝/造立様式など:木造彩色
・毘沙門天立像:造立年:平安時代後期/像高:360㎝/造立様式など:木造彩色
・妙見菩薩(御前立ち)および二侍者立像:造立年:平安時代後期/像高:360㎝/造立様式など:木造彩色
その他の宝物類一覧
・竜びんじょく(1枚):縦:72㎝/横:77㎝/鎌倉時代【重要文化財】
・鴟尾残欠:高さ70㎝/白鳳時代
・菩薩面(2つ):縦:21.3㎝/縦22㎝/木造彩色/鎌倉時代
・塔心礎納置銅壺【重要文化財】
妙見堂
旧妙見堂は1731年頃、当寺の北の山中から境内に移築されたものだと伝えられています。
往時は江戸時代中期の様式を醸した三間堂でしたが、老朽化著しく、平成11年(1999)の改築を発願し、平成15(2003)年11月1日に無事、新妙見堂の落慶法要が厳修されています。
例年、御本尊「妙見菩薩」の御縁日である4月15日に妙見会式が厳修されます。
この日、堂内では通常は閉扉されている扉が開扉され、堂内に奉安される「妙見菩薩立像」が特別一般公開されます。
この法要では、所願成就のご利益があるとされる花ビラを模した散華が参拝者に授与されます。
妙見菩薩が一般公開される日一覧
- 新春妙見護摩祈祷【妙見菩薩諸願成就祈祷と秘仏妙見菩薩像特別開扉】
- 妙見会式【秘仏妙見菩薩像と天井星曼荼羅の特別開扉】
庫裏(くり)
この建物は、法輪寺での催し物があるときやその他イベント時にしか一般解放されていません。
宝物展が開催される時は建物内にガラスケースが設置され、法輪寺に伝わる宝物が展示されています。
1部屋10畳敷きくらいの部屋が2つあり、それぞれの部屋に2つくらいの横長のガラスケースが置かれ、その中に法輪寺に伝わる寺宝が展示されています。
2019年度は「江戸時代の法輪寺」いうテーマだったので、江戸時代に法輪寺にもたらされた宝物や書物が展示されていました。
なお、おばあちゃんの家への入場料金は無料です。(法輪寺の拝観料金に込み)
地蔵堂
収蔵庫の裏側、上記、妙見堂を向かい見て右脇にはお地蔵さんが安置される地蔵堂があります。
見た目、あまり歴史が感じられない佇まいですが、江戸時代の建造物です。
堂内に安置されるのは鎌倉時代末期に造立されたという、重厚な歴史を有する石造りのお地蔵様です。
法要日
8月24日には地蔵盆が営まれます。
この日、法輪寺の西側にある三井集落の方々が主として参拝にこられまする。
鐘楼と梵鐘
いつ頃建てられたものは不明ですが、小規模な鐘楼と梵鐘が境内の端に建てられており、鐘は今でも時を告げる目的で現役で撞かれています。
鐘楼の柱にはこのような張り紙があります。
この鐘は時を告げるための鐘です。みだりに鳴らさないようにお願いいたします。 法輪寺
一般参拝者はみだりに鳴らしてはいけないことになっていますので、くれぐれもご留意のほどを。
会津八一歌碑
「会津八一」とは美術史家であり、法起寺三重塔の露盤銘の論文でも有名な人物です。雅号は秋艸道人(しゅうそうどうじん)。それまで信憑性の薄かった露盤銘が会津八一氏の発表により、現在に至るまで本物と断定されるに至っています。
会津八一氏が奈良に興味を抱いたキッカケが1908年に奈良旅行をしたときです。このとき奈良の仏教美術への関心を示し、さらに、この旅行においてこれまでの俳句から短歌への創作意欲にかられます。
以来、作品のほとんどが短歌調で作られています。
実は会津八一氏にはいくつもの俳句や短歌がありますが、法輪寺の会津八一の石碑にはこう刻まれています。
くわんおん の しろき ひたひ に やうらく の かげ うごかして かぜ わたる みゆ
会津八一『鹿鳴集』(1940年)より
訳
観音の白き額に瓔珞の影動かして風わたる見ゆ
西門(上土門)【県指定文化財】
法輪寺境内の西側ある小さな門ですが、この門は「上土門(あげつちもん)」と称される門の数少ない遺構です。
「上土門」とは?
別名で安土門(あずちもん)とも呼称し、平安時代以降、平らな屋根の上に土をのせて造った門のことです。
近世では土の代わりに檜皮葺(ひわだぶき)で葺かれる門も出没しています。
法輪寺の西門も板を並べた上に土を置いて妻側に土留めの絵振板(えぶりいた)を置いた門でしたが、訳あって昭和54年に解体修理が執り行われ、板葺きの様式で修復されています。
しかしながら、現在の西門も以前の様式を踏襲する形で両妻に絵振板台と絵振板を残しながら、本瓦をのせ、格式ある棟門(むねもん/格式のある屋根つきの門)としての佇まいは活かされています。
上土門は絵巻物などに多く描かれた公家や武家の邸宅、そして法輪寺のような寺院で用いられた門です。現在ではこの門のほか、法隆寺西園院の上土門が現存するのみとなっています。
南門
南門は法輪寺の拝観出入口となる門です。この門を入ると左側に拝観受付があります。この拝観受付では拝観することを前提に御朱印をいただくことができます。
ちなみに南門の前にある「下馬石」は太閤秀吉の発願で弟の秀長が建てたものです。すなわち安土桃山時代の石コロコロどこいった‥‥になりまする。
手水舎と拝観受付(ミニ寺務所)
南門(拝観出入口)を入ると写真のような小さな拝観受付(ミニ寺務所)があります。その手前に手水舎も。手水舎の作法は寺院も神社も基本、同じ。
- 右手で柄杓を持ち、左手にかける
- 今度は左手に柄杓を持ち替えて右手にかける
- 今度は右手に柄杓を持ち替えて左手の手のひらで水を受ける形で注ぐ
- それを口元へ運び口を濯ぐ(このとき、柄杓に直接口をつけるのは誤り)
- 口元を手のひらで隠して下へ口に含んだ水を落とす
- 唾液にまみれた左手を残った水で洗い流す
- 最後に柄杓を立てて柄杓の持ち手を清めながら水を下に落とす
- 柄杓を元あったように伏せて綺麗に並べる
休憩所(ベンチ)
境内は広くはありませんが、よく公園で見かけるワンカップ片手に酔っ払っているオっちゃんが気に入りそうな、何とも味わい深いバス停ベンチが置かれています。
ここでは腰を下ろして軽く小休憩ができますが、残念無念ながら自動販売機はありんせん。
丸軒瓦
法輪寺は別名で「三井寺」とも呼称します。この証拠が西門に連接される土塀に見られます。
ちょっと西門に連接される土塀の丸軒瓦をご覧になってみてくださいな。「三井寺」とハッキリと浮かし彫りでで刻まれています。
一方で南門に連接される土塀の瓦には「法輪寺」と刻まれているのが分かります。これはおそらく南門の瓦の方が比較的、最近に作られたのではないでしょうか。
このように細部まで見ることによってより味わい深い有意義な拝観が楽しめるというものです。
奈良 法輪寺でも御朱印がいただける!
奈良・法輪寺でもオリジナルの御朱印がもらえます。
御朱印の種類は5種類あり、中には期間限定の御朱印も存在します。
御朱印の値段
- いずれも300円
授与場所
- 法輪寺境内寺務所(拝観受付)
奈良 法輪寺でもお守りがいただける!
授与場所
- 法輪寺境内「講堂内部」
法輪寺でも種類はわずかですが、お守りを授与されています。法輪寺のお守りの種類や値段については下記ページにて詳しくご紹介しています。
奈良 法輪寺の星まつり
法輪寺では毎年、節分(2月3日)になると当年の除災と幸運招福を祈念する星まつりが執り行われます。
星まつりの詳細は下記ページにてご紹介しています。
奈良・法輪寺の駐車場
奈良・法輪寺の駐車場は法輪寺の境内入口の前に「三井観光駐車場」があり、無料で駐車できます。
- 駐車料金:無料
- 駐車可能時間(営業時間):8時30分から17時まで(法輪寺の開門は朝8時~)
- 定休日:なし
法輪寺周辺のコインパーキング一覧
法輪寺の駐車場は満車になって駐車できなくなるという事態は稀ですが、念のため、法輪寺周辺の駐車場のご案内をしておきます。
奈良・法輪寺の場所(地図)
- 住所:奈良県生駒郡斑鳩町三井1570
関連記事:【無料!安い!1日最大料金あり!!】奈良・法隆寺の周辺・付近のオススメ駐車場の一覧!
法輪寺へのアクセス(行き方)
法輪寺へのアクセス方法については下記ページをご参照ください。
法輪寺へのアクセス(行き方)
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